地域貢献の企業理念のもと、日々挑戦。地域医療を守りながら、脱炭素社会への責任を果たす
2026年05月29日
医療用医薬品を中心に、医療機器・医療材料などの安定供給を通じて地域医療を支える医薬品総合商社である株式会社よんやくは、基本方針に「地域社会への貢献」を掲げ、人々の暮らしと健康を守るための社会的使命を果たしています。持続可能な地域社会の発展に寄与する取組について、管理本部 総務人事部長の浮穴憲和氏と総務人事部 総務課長の向井通高氏にお話を伺いました。
株式会社よんやく
1949年松本薬品株式会社として設立。1999年10月に徳島県のサンエイ薬品株式会社と合併して、株式会社よんやくが発足。愛媛県・徳島県の医薬品流通業界において、地域医療に貢献。医療用医薬品・医療機器・診断薬等を販売する医薬品総合商社として、国内外数百社におよぶメーカーの製品を病院・診療所・調剤薬局等に販売している。
【事業内容】医療用医薬品、医療用機器などの医薬品総合商社
【代表取締役】加賀山 誠
【本社住所】愛媛県松山市南高井町1828番地
【電話番号】089-990-4141
【FAX番号】089-990-4170
【企業HP】https://www.yonyaku.com
「宣言」から始まった脱炭素への取組
浮穴)弊社の脱炭素への取組は、2022年(令和4年)5月に社内で発表した『SDGs宣言 ~Y’s Action~』から始まりました。企業に求められる役割が変化する中、私たちも社会の一員として何ができるのかを考え、この宣言を行いました。
弊社は、基本方針として、「地域社会への貢献」を掲げています。SDGsへの取組は、その方針を具体的な行動として落とし込むものです。社会から求められているから取り組むというだけでなく、企業が果たすべき責任の一つとして、脱炭素を含む環境配慮に注力することを決めました。
SDGsリーダーズの発足で取組を推進
向井)『SDGs宣言 ~Y’s Action~』と同時に立ち上げたのが、社内でSDGsを推進していく『SDGsリーダーズ』というチームです。私を含む事務局4名と、各部署の代表13名で構成されており、全社7拠点をオンラインでつなぎ、活動しています。
発足当初は月1回、定着した現在は2か月に1回の頻度でWEB会議を開き、具体的な取組を検討してきました。初期の活動は、社内の節電対策や、ペットボトルキャップ回収によるワクチン寄付など、日常業務の中で実践できるものが中心でした。また、全従業員にSDGsバッジを配布し、SDGsを意識するきっかけづくりにも取り組みました。
2023年(令和5年)6月には、ビジネスカジュアル制度『Y-Bizスタイル』を導入しました。社会意識の変化に柔軟に対応し、多様性を尊重する職場環境を整備するとともに、空調温度を適正に管理しつつ服装の自由度を高めることで、快適性を維持しながら節電を推進することを目的としています。
「省エネ×健康」の行動を変える工夫
従業員一人ひとりの意識改革を目的に、SDGsリーダーズを中心とした啓発活動にも力を入れています。
活動当初の盛り上がりが冷めないよう、イントラネットでの発信に加え、掲示板や給湯室など従業員の目につきやすい場所にポスターを掲示し、関心を維持する工夫を凝らしました。内容は単なる節電の呼びかけにとどまらず、「エレベーターを使わずに階段を使おう」といった、省エネと従業員の健康増進を掛け合わせたメッセージも発信しています。
その結果、「健康になれるなら」と実際に階段を利用する従業員が増えるなど、具体的な行動変容にもつながっています。
社内に掲示されたポスター
向井)これらの活動で常に意識しているのは、トップダウンだけで進めないということです。会社からの指示ではなく、現場の一人ひとりが自ら考え、仕組みをつくっていくことが重要だと考えています。SDGsリーダーズは、そのきっかけづくりと後押しを担う存在です。トップダウンとボトムアップの両輪があってこそ、取組は継続できると考えています。現在は、SDGsリーダーミーティングで年間を通じてCO2排出に関するテーマを設定し、SDGsとの関連性を明確にした研修や勉強会も実施しています。
浮穴)最も難しさを感じているのは、一人ひとりの意識の醸成です。弊社には600名を超える従業員がいます。価値観や考え方が異なる中で、全員が同じ方向を向くことは簡単ではありません。太陽光発電のような設備投資であれば、会社の意思決定で前に進めることができます。
しかし、意識づくりはそうはいきません。現在は多くの従業員が賛同してくれていますが、関心を保ち続けるためには、伝え続ける努力が必要ですので、今も試行錯誤を重ねています。
また、自治体の支援制度の活用にも課題がありました。弊社は大企業区分に該当するため、対象外となるケースが多かったのですが、『えひめゼロカーボン・チャレンジ企業認定制度』により、さまざまなメリットを受けられることを嬉しく感じています。
自家消費型太陽光発電で、CO2とコストを同時に削減
浮穴)設備面では、2024年(令和6年)4月に自家消費型太陽光発電を導入しました。パネル数は801枚、出力は約368.46kWhです。これまでは、全拠点で売電用の太陽光発電に取り組んでいましたが、新たに「作った電気を自社で使う」仕組みを整えました。その結果、年間約37万kWhを自家消費できるようになりました。
これは年間使用電力量の約22%にあたります。電気代削減効果は年間約1000万円を見込んでおり、電気代高騰を踏まえても、CO2削減とコスト削減の両立につながっています。設置から現在までで、390.76tのCO2削減に成功しています。これは約534本分の木のCO2吸収量に相当します。
今後、卒FITを見据え、太陽光発電の完全自家消費化や蓄電池の導入なども検討していきたいと考えています。
また、エコドライブに関しても、配送ルートの見直しなどできることから実施しています。車両については、ハイブリッド車の積極的採用を進めました。配送に使う車両は大きなバンタイプが多く、EVやハイブリッド車の選択肢がまだ少ないのが現状です。そのような中でも、現在約310台ある車両のうち30台、全体の約1割にはハイブリッド車を導入しています。
向井)CO2排出量の可視化も重要な取組の一つです。削減を進めるには、まず現状を正確に把握することが不可欠だと考え、2024年(令和6年)9月に、CO2排出量を数値で可視化して把握できるクラウドサービスを導入しました。事務局やSDGsリーダーズが中心となってデータを管理し、拠点ごとの数値を共有できる体制を整えています。
取引先や採用活動でも前向きな評価に
向井)こうした取組は、取引先からの評価にもつながっています。弊社は、製薬メーカーのサプライチェーンの一端を担っています。将来的には、自社の直接排出(スコープ1)や購入電力による排出(スコープ2)だけでなく、原材料調達や物流、製品使用、廃棄などをサプライチェーン全体で発生する間接的な排出量(スコープ3)への対応も求められるようになります。私たちが先行して取り組んできたことで、取引先から前向きな評価をいただく機会も増えました。脱炭素への姿勢は、取引継続においても重要な要素の一つになっていると感じています。
本社を地域の防災拠点に
向井)弊社の本社が位置する地区は、歴史的に水害リスクがあるエリアとされています。そこで、地元の自主防災組織と協定を締結し、水害発生時には敷地内にある立体駐車場の2階を「一時避難場所」として地域住民に開放する体制を整えています。浸水被害から住民の命を守る防災拠点として機能します。
また、災害時に最も懸念される停電への対策も万全です。医薬品の品質管理には厳格な温度管理が求められるため、電力の喪失は致命的となりますが、全社に自家発電設備を完備しており、本社・物流センターでは、災害時でも約96時間は建物をフル稼働させることが可能です。この電力確保により、停電時でも冷蔵・冷凍が必要な医薬品を適正に管理し、医療機関への安定供給を維持できるだけでなく、避難場所として開放した際にも照明や情報の確保が可能となり、地域住民の不安軽減に大きく寄与すると考えています。
医薬品卸売業という事業そのものが社会貢献性の高い事業であり、災害時であっても地域の医療機関へ薬を届け続けることが、医薬品卸売業としての最大の使命だと考えています。
女性が働きやすい職場環境へ
浮穴)SDGsの一環として、女性活躍推進の観点を取り入れた環境整備に力を入れており、女性従業員から出たアイデアを積極的に採用しています。その第1弾として実現したのが「Y’sTERRACE」です。女性ならではのアイデアにより、テラスをカフェのような空間に改装しました。お昼休憩に利用したり、イベントを開催したりと活用しています。夜になると美しくライトアップされるこの空間は、殺風景になりがちなオフィスに彩りを与え、従業員の心を癒やす女性らしい視点が活かされた象徴的なスポットとなっています。さらに現在、次のプロジェクトを始動する準備を進めています。
脱炭素事業を考えている方へメッセージ
浮穴)脱炭素事業には、設備投資のような大きな取組も必要ですが、その後は小さな日常の積み重ねであり、その両方を継続していくことが重要だと考えています。
大切なのは、従業員一人ひとりが「自分たちの生活そのものがSDGsにつながっている」と理解することです。例えば、それぞれの家庭での節電、地産地消や食べ残しをしないことなど、日常の些細な心がけが環境貢献になると気づいてもらうことです。
これから取り組まれる方には、会社としての投資と、従業員一人ひとりの意識改革を両輪で進め、会社の中だけでなく地域社会全体へその意識を広げていくような活動を目指してほしいと思います。
向井)推進する立場から最もお伝えしたいのは、「継続すること」の重要性と難しさです。活動を始めた当初は盛り上がりますが、時間が経つにつれてどうしても社内の温度感は下がってきてしまいます。担当者としては、そこで従業員を飽きさせないために、活動の形を変えたり、新しい施策を考えたりして、関心を持ち続けてもらう工夫が必要です。
大きな設備投資は会社の判断ですが、現場の従業員には「自分たちにできること」に注力してもらうのが良いと思います。身近な省エネやリサイクルなど、無理なく取り組めることに焦点を当て、長く続けられる環境を作ることが、結果として大きな成果につながると考えています。